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農薬汚染の実態を伏せたまま水俣条約は発効した

2017年8月16日に「水俣条約」が発効しました。「水俣条約」は、水銀による環境汚染や健康被害を防ぐための国際的な水銀規制のルールです。水銀の採掘や使用に加え、輸出入なども含めた包括的な管理に取り組むことになりました。

条約には、1)新規の水銀鉱山の開発禁止、2)ものづくり課程における水銀の触媒などへの使用の削減と禁止、3)一定量以上の水銀を使用した蛍光灯や体温計などの製造・輸出入の禁止、4)水銀廃棄物の適正管理、そして5)石炭火力発電所などでの排出削減対策の実施、が盛り込まれています。

暫く振りですが、やっと管理人氏の努力の賜物で再開された海生研OB会HPへの投稿が果たせそうです。管理人氏の真骨頂の意地に対抗するには、&oにとって農薬によるメチル水銀汚染問題を扱うのが適切と判断しました。

冒頭に「水銀条約」の取組み項目を記しました。当然といえば当然ですが、自然が大量に地球上に水銀を排出する「火山活動」については、「水俣条約」にかけらも取り入れられていません。さしずめ、鹿児島湾のメチル水銀汚染は自然汚染なので無視できると主張しています。「水俣条約」が発効したのだから、この際、鹿児島湾の10種類の魚介類の漁獲の自主規制は解除できるのではないでしょうか。

そうすると、新潟県関川流域のメチル水銀汚染は、汚染源が関川源流(白田切川)の火山性水銀(自然汚染)ですので、これも管理せずとも良いことになります。新潟県・上越市(H27から妙高市へ)が1973年から続けてきた河川底質土(随時水質)および川魚の総水銀とメチル水銀の環境モニタリングから解放されるのでしょうか?石炭火力発電所から排出された水銀と自然由来の水銀とを区別・分別できる方法・技術があるとでも言っているようなものです。石炭中の水銀こそ自然由来です。古生代後半に産業があったとでも言いたいのでしょうか。古生代の大地の水銀は、火山ガス・灰が降り注いたもの、あるいは溶岩流そのものが由来でしょう。

石炭燃焼による水銀排出量を削減することと、桜島の噴火活動を制限させることの違いは明白です。しかし、現在の石炭燃焼による水銀排出の削減対策は実施するが、過去に2300㌧の水銀を散布し、水田とその水系に現在も残留している水銀は無視してよいのが「水俣条約」です。稲イモチ病対策としての酢酸フェニル水銀系農薬の大量散布によるメチル水銀汚染は、正に「不都合な真実」なのでしょう。

農薬散布によるメチル水銀汚染が存在したという状況証拠を、これまでに数多く提示してきました。はっきり論文として報告したのは鹿児島湾の事例だけです。今年の3月、熊本水俣病胎児性患者のお父さんと慕われていた原田正純医師が遺された臍帯のメチル水銀濃度の変動を基にした農薬汚染の存在を指摘した論文を投稿しました。しかし、7月上旬に、社会的な問題を含んでいること、世間から認められている状況にないという「査読」でrejectを食らいました。もう一人の査読者は、ご丁寧に1)統計的手法が間違っている、2)必要なデータが得られていないと指摘してきました。多分、統計学の研究者なのでしょう。しかし、統計学の論文ではないのです。したがって、査読範囲は、統計的手法の是非はではなく、手法で出された結果の解釈の適否だと思います。それに、必要なデータがない(母親の魚食量・魚食頻度)ことは、本文に「原田データに記載がない」と記し、記載の無いことによるバイアス(偏り)が含まれていることを考察しています。1)は、ご本人が統計学者であり、「統計学とは」の観点からの指摘であり、また2)は、「こんな初歩的な要因の欠如」の指摘をすることで、rejectが相応しいと言いたかったのでしょう。通常の査読では、1)の場合、やり直し and/or 著者との議論のため、論文の差し戻しだと思います。2)の場合、「無いものねだり(過去の他人のデータを基に作成した論文である)」の上、査読者が本文を確認していない、という「問題」を含んでいます。Rejectのための査読だったとして受け入れるより仕方のないことのようです。英訳ができれば道も拓けることでしょう。水産生なので「待てば海路の日和あり」で、そのうち、ネット上で、正確な和文英訳が出来るようになるのでは…と、待ちましょう。長生きしなければなりませんが…..。

本題が外れてしまいました。いつものように、データを示しながら安藤説を述べるつもりでした。近年、関川上中下流、渋江川(関川中流で合流)、矢代川(関川中下流で合流)および保倉川下流(関川河口から300mで合流/白田切川の水銀が流れ込むことは考え難い)で、魚介類における総水銀およびメチル水銀濃度の暫定的規制値を超える魚体(ウグイ・ニゴイ)が複数検出されています。H26の妙高市のデータでは、ウグイ….関川上流(総水銀;5/6(検出数/測定数),メチル水銀;5/5)、関川中流(1/10,1/1)、渋江川(5/5,5/5)、矢代川(3/3,2/3)、およびニゴイ….関川下流(6/6,6/6)、保倉川(3/3,3/3)と記されています。関川最上流(源流域)の白田切川には川魚が生息していないのでしょうか?多分、測定していないのは、居ないのではなく、測定したが汚染魚を検出できなかった、あるいは、測定しなかったというのが事実でしょう。測定しない・していないというのは、行政における逃げ道・抜け道だと思います。白田切川にメチル水銀汚染源があるならば、生息生物にメチル水銀が検出されるのは当然ですが、それも、他所よりさらに高濃度で検出されるはずです。そのようなデータを行政が望むことはありえません。長年、環境モニタリングを続けている(ただし公表はH27で停止しています)ことをもって、報告・環境管理などの義務を果たしているという姿勢は取り続けているようです。

次回は、これらのデータを使って、水田残留の水銀のメチル化が進みつつあることを報告したいと思います。

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