プロ棋士は、勝ちを意識すると「指が震える」ことはよくあることだ‼
藤井八冠は、どんな場面でも「指が震える」ことはない。将棋の技能面だけでなく精神的にも神の領域に達しているのであろう。
東京新聞 2023年10月29日 07時00分◆成長見届けた番記者の苦悩
[評]谷川浩司(将棋十七世名人)
いわゆる「藤井本」は既に100冊以上出ていて、かく申す私も執筆者の一人だが、その中にあって本書は異彩を放っている。中日新聞で文芸志望から一転して将棋担当を命じられた著者が、藤井聡太を追い続けたドキュメンタリー。著者の目線で語られていて、将棋記者としての奮戦記の趣もある。8年前、著者が初めて会った藤井三段はどこにでもいる少年に見えた。だが、地元で取材を続ける中で、彼の現在を予感する出来事に度々遭遇するようになる。