確かに「豊島は実にしぶとかった」
「秒に追われた藤井が慌てて歩を敵陣に打つと、また形勢がひっくり返った。置かれた歩は左に傾き、マス目の左下に寄りかかるような格好になっていた」は、なんて目だろうか。終盤の135手目の☗3三歩打ちだろうか。素人目には、この時点で藤井竜王が悪くなったようには見えない。144手目の☖3八馬(銀取り)で後手の攻めが途切れた。
そこからの藤井竜王の自玉を守りながらの攻めは見事であった。
文春オンライン 週刊文春 2023年8月17日・24日号八冠の夢が際どくつながった。
将棋界にある八大タイトルのうち七冠を保持する藤井聡太にとって、残るタイトルは王座のみ。永瀬拓矢王座への挑戦者を決める第71期王座戦挑戦者決定戦が8月4日、大阪の関西将棋会館で行われた。対戦相手は豊島将之九段。藤井と最も多く対戦し、最も多い勝ち星(11勝)を挙げている。難敵が立ちはだかった。