岸田首相の「抑止力となる反撃能力は今後不可欠」は間違っている。 本来の「専守防衛」として、まずは国民の命を守るためのシェルターを整備すべきだ。
国民は「反撃能力が決して抑止力にはならないこと」と「外交努力こそが戦争回避への唯一の手段であること」を知るべきだろう。
岸田首相は、憲法の「戦争の放棄」を無視して、誤った方向の「戦争への道」を大きく進み始めた。これが日本の進むべき道だろうか。
17日の読売新聞一面には、『戦争回避「国防の本義」』と題する政治部長 村尾新一の記事があった。国防についてのこの記事の内容はその題とは裏腹のもので、「反撃能力」が抑止力として「伝家の宝刀」といえようとし、「戦争の回避」を主に述べていない。
さらに記事の末尾には、なんと百年前の首相加藤友三郎の言葉を引用している。加藤友三郎は、首相というより日清戦争、日露戦争に従軍した軍人であった。戦時ではない日本の今の新聞記事に、その軍人の言葉を引用したのは時代錯誤も甚だしい。政治部長は何を考えているのか、何を言いたいのか全く理解できない。その言葉は、外交による戦争回避よりも武力を整えることを先に述べていて、首相の防衛力増強を肯定しているに過ぎない。
これは、日本の脅威とされる国との外交において、右手の拳を振り上げて、左手で握手するが如きものである。
読売新聞17日朝刊一面
安保政策を大転換、岸田首相「抑止力となる反撃能力は今後不可欠」…3文書
読売新聞オンライン 2022/12/16 21:53
政府は16日、今後10年程度の外交・防衛政策の指針となる「国家安全保障戦略」などの3文書を閣議決定した。自衛目的で敵のミサイル発射拠点などを破壊する「反撃能力」の保有を明記し、戦後の安保政策を転換した。中国の台頭などで揺らぐ国際秩序を守るため、防衛費と関係費を合わせて2027年度に現在の国内総生産(GDP)比2%とし、防衛力を抜本的に強化する。